入国後講習とは~講習科目の詳細~2020.07.20

今回のテーマは引き続き“入国後講習の講習科目の詳細について”です。前テーマで述べた「すべての講習科目」には様々な留意点がありますので、今回は、その内容を解説していきます。

 

  • 日本語

「技能実習が行われる現場においては、日本語による指導やコミュニケーションが行われるのが通常であることから、技能実習を効果的かつ安全に行うための日本語教育を求めるものです。また、技能実習生は我が国で生活することとなるため、技能実習の基盤となる日常生活を円滑に送るためにも一定の日本語能力が必要となることから、技能実習生が技能実習の遂行や日常生活に不自由しないレベルに達することができるよう入国後講習を行うことが望まれます。」

 

外国人技能実習生は日本能力試験N5レベルで入国してくる子たちがほとんどですので、入国後講習では実習開始後、最低限困らない日本語の修得が必要不可欠になります。

そのため、実習中に必要だと思われる日本語を効率よく修得していくことが、大切となります。レクリエーション日を作り、座学から離れ郊外学習を行い、日頃の教育担当の先生とは別の監理団体の職員と関わる日を作ると、外国人実習生のコミュニケーション力や日本語力の上達にもなります。

 

  • 本邦での生活一般に関する知識

「技能実習生が最大5年間本邦で生活を行うためには、我が国の法律や規則、社会生活上のルールやマナーを守る必要があり、自転車の乗り方等日本の交通ルール、公共機関の利用方法、国際電話の掛け方、買い物の仕方、ゴミの出し方、銀行・郵便局の利用方法等など様々なものが考えられますが、これらに関するものがこの科目に該当します。」

 

技能実習生が日本の生活を始め、様々なことを守るための授業となります。買い物の仕方一つが、本国と日本では異なりますので、その点も大切な講習のポイントとなります。

また、ほとんどの監理団体が公的支援として、警察署や消防署の方を招き、警察職員による失踪防止や交通安全について、在留カードの携帯義務についての講習や消防署の指導による防災授業を行う予定を立てております。

 

③ 出入国又は労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法その他技能実習生の法的保護に必要な情報

「技能実習法令、入管法令、労働関係法令に関する事項、実習実施者や監理団体等が技能実習法令等の規定に違反していることを知ったときの対応方法、特に申告・相談先である機構における母国語相談や、労働基準法違反の申告・相談先である労働基準監督署等の行政機関への連絡及び申告の要件や方法と不利益取扱いの禁止に係る事項、賃金未払に関する立替払制度や休業補償制度、労働安全衛生や労働契約に関する知識、厚生年金の脱退一時金制度のほか、やむを得ない理由による転籍をしなければならなくなった際の対応等に関する事項が、講義内容に含まれていなければなりません。」

 

社労士や行政書士(法的保護に必要な情報について十分な知識を有すると認められる者)などによる、外国人技能実習生と関係のある日本の法律を学ぶ授業となります。きちんとした法律で日本人と同じように守られていることを勉強します。

 

  • ①から③までのほか、本邦での円滑な技能等の修得等に資する知識

「機械の構造や操作に関する知識のほか、技能実習への心構え、企業内での規律等の講義が想定されます。また、現場施設見学を行う場合がこの科目に該当することとなります。なお、講習実施施設の外で講習を実施しても差し支えありませんが、実習実施者の工場の生産ライン等の商品生産施設においては見学以外の活動は認められません。商品生産施設での機械操作教育や安全衛生教育は、講習とは別に実習実施者において、技能等の修得のための活動として実施しなければなりません。」

 

使用する器工具の名称や実習現場での流れなど実習実施者の要望に合わせて教育することも可能ですし、技能実習開始までに覚えてほしい重要な用語などがございましたら、それを教育することも可能です。

 

技能の修得も大切ですが、外国人技能実習生の“人間性”も見ていただければと思います。やはり、一人一人個性があり、おしゃべりな子、静かだけど熱心に実習に取り組む子、リーダーシップを発揮する子など・・・研修施設ではそのような部分も観察し、実習実施者へ報告いたしますので、実習指導の参考にしてみてください。

 

また、研修施設では、規律や挨拶を重点的に教育しております。実習を行う際、すぐに実習に取り組むことができるように、日本での礼儀やマナー、実習に対する意識付けをしております。

元気な挨拶やきちんとした礼儀で実習に取り組んでくれますので、入国後講習での成果を楽しみに実習を開始する日までお待ちください。