入国後講習とは~団体監理型~2020.07.13
今回は、第1号技能実習を開始する前に受講する“入国後講習”について解説いたします。
入国後講習とは、外国人技能実習生が入国後、実習を開始する前に行われる講習のことをいいます。企業単独型と団体監理型の講習について、大きな異なるポイントは、前者は「法的保護講習は必ず技能実習開始前に実施しなければいけない」ですが、後者は「すべての講習科目を必ず技能実習開始前に実施しなければいけない」という点です。今回は弊組合も該当する団体監理型の“入国後講習”について説明いたします。
監理団体は、技能実習生が入国後講習に専念できる環境づくりに努める必要があります。
入国後講習については、規則上、「他の適切な者に委託」して実施することが可能であることを明確化しています(規則第10条第2項第7号)ので、監理団体が主体となりますが、日本語学校などに委託することは可能です。なお、監理団体が主体となることから、以下の業務分担が大切となっております。
監理団体自ら行うべき業務・・・入国前講習及び入国後講習の企画立案
委託することが可能な業務・・・監理団体が企画した入国前講習及び入国後講習の講師の業務(適切な者が講師となっている場合に限る。)
入国後講習では、外国人技能実習生一人一人の日本語レベルが違うことから、それらに対応してくれる委託先を選ぶことも大切です。日常会話に支障がない程度の日本語能力に加え、依頼があれば、各実習実施者で使用される専門用語を学ばすことも可能です。言語による支障をできる限りなくし、技能実習開始後、日本語能力だけでなく、生活形式など日常生活がスムーズに行えるようにサポートをしてくれる委託先が大切となります。
さて、上記で述べた「すべての講習科目」とは以下4つとなっております。
① 日本語
② 本邦での生活一般に関する知識
③ 出入国又は労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法その他技能実習生 の法的保護に必要な情報
④ ①から③までのほか、本邦での円滑な技能等の修得等に資する知識
入国後講習の時間数については、要件を満たした入国前講習を実施しない場合は「第1号技能実習合計時間数の6分の1以上」、実施する場合は「第1号技能実習合計時間数の12分の1以上」となります。大半の外国人技能実習生は、後者の実施する場合に該当いたしますので、約一ヶ月(※1)の入国後講習を受講して、実習実施者での実習が開始いたします。なお、効果的な講習を実施するという観点から、1日8時間以内かつ週5日以内で実施することが原則となります。
実習を開始する準備が予定より早く整ったからといえ一日でも早く配属させるために、週6日の講習を行うことはできません。
また、数社の監理団体が許可の取消しをされているように、入国後講習期間中の技能実習の業務への従事は禁止されております。実習実施者と外国人技能実習生の雇用契約は、入国後講習後に発効します。「すべての講習科目」をきちんと終え、日本語も含め、日本の生活様式に少し慣れてからの実習実施者での技能実習を開始となります。
入国後講習中には、“挨拶”も主に指導いたしますので、面接で見た時よりも上手な日本語と元気さで、技能実習を開始するようになります。外国人技能実習生がどのような入国後講習を受講しているのか、元気に入国して来たのかの確認で講習施設にお越しいただく実習実施者もおられますし、入国後講習中に食材を差し入れしてくださる実習実施者もおられます。
小さなことですが、このようなコミュニケーションで、実習生との信頼が生まれ、円満な3年間を過ごすことができます。
※1 第1号技能実習の技能実習合計時間数が1920時間なら320時間(1日講習8時間の場合40日)以上しないといけないが、入国予定日6ヶ月以内に、本邦外において1ヶ月以上の期間かつ160時間以上の課程を有し、座学により入国前講習が実施されていたら、160時間(1日講習8時間の場合20日)以上行うことになるので、実習実施者の年間労働日数及び時間数により異なってきます。