外国人技能実習生の宿泊施設とは・・・②2020.06.15

さて、先週に引き続き、今回のテーマも外国人技能実習生の宿泊施設についてです。今回は“準備(寮や備品などの選定)”をメインに解説いたします。

 

基本的には、宿泊施設は実習実施者様名義でご準備いただきます。宿泊施設が技能実習を行わせる事業所に近く、生活指導を担当される方と技能実習外でも密接にコミュニケーションが取れる環境が最も理想的です。しかし、宿泊施設と生活指導員の住居が近くにあるというのは合理的に難しい実習実施者様もおられますので、少なくとも宿泊施設が事業所の近くにあることが望ましいとされています。なお、近くで宿泊施設を見つけることができない場合は、電車通勤や自転車での通勤も可能ですが、事故やトラブルに巻き込まれないためにもやはり、事業所の近くでご準備いただきたいものです。

 

寮などの宿泊施設を保有されている実習実施者様は、そちらをご使用いただくことも可能ですが、その場合は実際に建設や改装などに要した費用、物件の耐用年数、入居する外国人技能実習生の人数などを勘案し、合理的である説明を添えて居住費の徴収金額を決めなければなりません。

借り上げ物件をご使用する場合は、借り上げに要する費用を入居する実習生の人数で除した額以下で、居住費の徴収金額を決めます。この借り上げに要する費用は管理費・共益費など(エアコンなど設備レンタル料も可)は含みますが、敷金・礼金・保証金・仲介手数料は徴収金額に含むことができません。

居住費と別に水道光熱費も実費の範囲内で外国人技能実習生から徴収することは可能ですし、一定の金額を算定しその額を徴収することも可能ですが、この場合も実費の範囲内である合理的な説明が必要となっております。また、給与から徴収せずに、外国人技能実習生本人が直接、水道・電気・ガスなどの事業者に料金を支払うこともできます。

 

さて、実習生が生活をするにあたって、最低限必要な家電(洗濯機や冷蔵庫など)やキッチン用品(鍋など)もご準備いただきたいものとなっておりますので、以下をご確認ください。

 

家電用品・洗濯機       ・掃除機       ・ガスコンロ(又はIH)

・炊飯器       ・冷暖房器具     ・扇風機

・冷蔵庫       ・電子レンジ

炊事用品・鍋やフライパン   ・箸         ・食器用洗剤

・包丁やまな板    ・スプーンやフォーク ・スポンジ

・おたまやフライ返し ・食器

寝具

生活用品

・布団一式      ・バスタオル     ・トイレットペーパー

・枕         ・洗面器       ・ティッシュ

・毛布        ・シャンプー     ・物干し

・タオル       ・石鹸        ・ハンガー

掃除用具・掃除機       ・雑巾        ・洗剤
そのほか・照明器具      ・椅子        ・wi-fi

・カーテン      ・消火器       ・個人別私有物収納設備

・テーブル      ・自転車       ・整理タンス

すべて新しいものをご準備いただく必要はないので、リサイクルショップや従業員の方々が使用していた中古品をご提供いただいてもかまいません。また、必須にご準備いただくものではございませんが、外国人技能実習生がプライベートをより快適に過ごし、技能実習中に円滑な意思疎通を行えるように日本語修得のため、テレビをご準備いただく実習実施者様もおられます。

 

昨今、外国人技能実習生はインターネットを通じ、母国の家族や友達と連絡を取り合うため、wi-fi設備は必要不可欠なものとなっております。実習実施者様名義でご契約いただき、その費用を実費の範囲内(※例①)で外国人技能実習生に支払わせることは可能です。ホームシックで技能実習を中断し、泣く泣く途中帰国をする外国人技能実習生もいますので、有意義な3~5年間を過ごすためにもぜひご準備いただきたいものの一つです。

 

  1.  通信利用料5,400円を3名の実習生で利用する場合 すなわち、1,800円以下での徴収が可能となります。
  2.  5,400円÷3名=1,800円

 

また、宿泊施設の都合上、自転車通勤をする外国人技能実習生もいますので、自転車を利用させる際は、自転車保険に入っていただくこともおすすめいたしますが、入国時に外国人技能実習生総合保険に任意加入していただきますので、そちらで補うことも可能です。

 

最後になりますが、近所に見ず知らずの外国人が居住することになると不信感を感じられる住民も多々見受けられますので、入居前に近隣住民の方へご挨拶に行くことをおすすめいたします。外国人技能実習生には近隣住民の方々への挨拶、ごみ捨てのルールなどを入国後講習で指導をしていますが、初めは戸惑うこともありますので、該当国の国民性やトラブルがあった際の連絡先などを記載したものを配布しておくと、より丁寧な印象を残せると考えております。実習実施者様は実習生とこまめにコミュニケーションを取り、宿泊施設について困っていることがないかどうかを定期的に確認してあげるとトラブルも起きにくくなりますよ。