けがや病気をした時の外国人技能実習生総合保険について2020.06.29

今回は、けがや病気をした時の外国人技能実習生総合保険について解説いたします。

 

2010年7月に改正入管法が施行され、外国人技能実習生の受入れにあたって、実習実施者が労災保険の届出等の措置を講じていなければならず、また、「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」(2009年12月法務省入国管理局(現 出入国在留管理庁)策定)においては、公的保険を補完する民間の傷害保険等に加入することも、外国人技能実習生の保護に資するものであるとされました。

 

外国人技能実習生は、実習実施者と雇用契約を締結いたしますので、日本人同様、厚生年金や健康保険・雇用保険などの公的保険の加入が必須となっております。

しかし、自己負担が3割でも、長期間(※保険請求には通院期間の限度がある場合もございます)通院したときにそれを支払うのは大きな負担になってきますし、その負担をしたくないがために、通院せずに技能実習を円滑に終了できないとなると本末転倒です。

 

そのようなことが起こらないように任意でご加入いただく民間の傷害保険等といわれているものが、外国人技能実習生総合保険となります。任意の加入ですが、近年は、ほぼすべての実習実施者にご加入いただいております。

 

保険期間中のけがや病気(母国で発症した傷病は除外)により治療した際に、公的医療保険の資格取得までの一定期間(15日、1ヶ月、2ヶ月など選択制)は治療費の100%、公的医療保険の資格取得(技能実習開始)後、労災保険の対象以外は、病院などに直接払った自己負担額(3割)を事後に保険会社に請求できる保険となります。治療費が実質無料となり、薬を処方された場合も補償されます。補償期間や保険金額によって、様々なタイプがございますので、実習実施者のご負担にならないもので外国人技能実習生に適したものをお選びください。

 

基本的な補償内容には以下のものがございます。

 

1.外来の事故によるけがや病気の発病

2.過って他人の物を壊したり、けがをさせたりしたとき

3.病気またはけがにより死亡や危篤状態となったときに、現地から親族が来る渡航費など

 

また、保険金が支払われないものは以下の3点ですので、ご留意ください。

 

1.妊娠・出産・流産・早産およびこれらに起因する病気

2.歯科疾病 ※けがによる歯科治療は対象となります

3.労災保険が適用される業務上・通勤上の傷病

 

なお、自転車事故も対象となり、自転車保険加入が義務化されている自治体のものに適応されますが、通勤途中の事故は労災保険の対象となり、この場合は外国人技能実習生総合保険では適応されません。そのため、通勤で自転車を使用させる実習実施者には、その部分も補償される自転車保険単体の加入をおすすめしております。

 

技能実習期間に、けがや事故がなく円満に終了することが理想的ですが、不意な事故や思いもよらない病気にかかったときに金銭面の不安を大幅に拭え、それらが起こっても安心できる総合保険となっております。けがや病気からの復帰後は、心身ともにパワーアップしてさらに、飛躍的に技能実習に従事してもらえますよ。