レジデンストラックを利用した技能実習生の入国2020.09.03

6月18日、日本国政府は、一般の国際的な往来とは別に、ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設置し、現行の水際措置を維持した上で、追加的な防疫措置を条件とする仕組みを試行すること(国際的な人の往来再開に向けた段階的措置)としました。

新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いている国・地域と協議・調整の上、準備が整い次第、順次実施されます。

7月29日よりタイ、ベトナムでは、レジデンストラック(国際的な人の往来再開に向けた段階的措置により例外的に相手国又は本邦への入国が認められるものの、相手国又は本邦入国後の14日間の自宅等待機は維持されるスキーム。主に駐在員の派遣・交代等、長期滞在者用)を利用した双方向の往来の受付が始まりました。

 

本コラムでは新規に入国する技能実習生がレジデンストラックをりようして入国するための課題について考察していきたいと思います。

 

 

レジデンストラックの枠組み

図:外務省ホームページ 国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について

 

入国の課題

レジデンストラックが開始されたとはいえ、タイ、ベトナムでは主要航空会社が1024日まで運休を決めています。

入国の手段は、直行便に限るとされているため、減便して運航している航空便または特別便となり、航空券の価格の高騰が考えられます。

 

入国後の移動の課題

空港到着後、到着空港で新型コロナウイルス感染症に関する検査を受け、陰性の結果が出たとしても空港から待機施設までは公共交通機関の利用は禁止されています。そのため外国人技能実習生の監理団体や実習実施者が手配した車等にて待機施設まで送迎が必要です。

現在、日本の空港で検査体制があるのは成田空港、羽田空港、関西空港の3つの空港だけであり、外国人技能実習生の母国と日本との航空便の到着は関東が主となると考えます。

 

入国後14日間の待機中の課題

レジデンストラックでは、入国後14日間、自宅・宿泊施設等(個室管理(トイレ・風呂共同不可)ができる施設等)で待機が求められます。

通常時であれば、入国後、研修センターへ入寮することになりますが、研修センターの多くは集合型の生活形式を取っているため、入国後14日間の待機施設として利用できないことになります。個室管理ができるホテル等が待機施設として想定されます。待機期間中は当然、外出ができないため、食材、食事の提供も課題となります。

また、新型コロナウイルス感染症の陰性証明を持って来日しており、空港到着後の検査も受けているとはいえ、待機施設としてホテル側に利用依頼すれば拒まれることも想定されます。

 

 

国際的な人の往来再開に向けて制度は開始されましたが、現状ではこの制度を利用して入国してくる外国人技能実習生は少数になるかと考えます。

 

新型コロナウイルス感染症が早く収束し、早期に以前のような国際的な往来ができる社会になること望みます。

 

 

参考

外務省ホームページ 国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/cp/page22_003380.html

 

経済産業省ホームページ 資料「タイ・ベトナムとの間のレジデンストラックの手続きについて」

https://www.meti.go.jp/covid-19/ourai/pdf/20200806.pdf