外国人技能実習生のPCR検査の出入国時の対応2020.09.24

6月18日に日本国政府が決定した国際的な人の往来再開に向けた段階的措置を受け、7月29日より、外国人技能実習生の送出国であるタイ、ベトナムとの間でレジデンストラックの運用が開始されました。

 

レジデンストラックとは、一般の国際的な往来とは別に、ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設置し、現行の水際措置(空港での新型コロナウイルス感染症の検査、14日間の公共交通機関不使用および自宅等(検疫所長が指定する場所)待機)を維持した上で、追加的な防疫措置(入国前の検査証明、入国後14 日間の位置情報の保存等)を条件とする仕組みの試行措置のことです。

 

9月24日現在、タイ、ベトナムの他にマレーシア(9/8開始)、カンボジア(9/8開始)、ラオス(9/8開始)、ミャンマー(9/8開始)、台湾(9/8開始)との間で運用が開始されています。これからも感染状況が落ち着いている国・地域を対象として協議・調整を開始し、準備が整い次第、順次実施していくこととされています。現時点の候補となっている国は、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、韓国、中国、香港、マカオ、ブルネイ、モンゴルとなります。

 

往来を再開していくにあたりお互いの国の水際措置として、PCR検査が求められています。

外国人技能実習生も同様にPCR検査が必要となるため、本コラムでは外国人技能実習機構が示しているPCR検査の費用負担者について紹介したいと思います。

 

外国人技能実習機構は「技能実習生がレジデンストラックを利用して入国する場合に関するよくあるご質問について」にて入国前のPCR検査費用について以下のように示しています。

 

入国前のPCR検査については、実習実施者が負担することが望ましく、技能実習生本人に負担させるべきではありません。

 

その根拠として、今般の「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」で必要となる従来の水際措置及び追加的な防疫措置については、受入企業・団体側がその実施を確保するために必要な措置をとることが求められており、その費用負担は、受入企業・団体又は入国者が負担することとされています。
技能実習法では、実習実施者には、技能実習を行わせる者としての責任のほか、技能実習生を雇用する者及び技能実習生の生活を支援する者としての責任があることを踏まえ、実習実施者が負担することが望ましく、技能実習生本人に負担させるべきではないとしています。

 

一方、帰国前のPCR検査費用については、「新型コロナウイルス感染症に関するよくあるご質問について(周知)」にて以下のように示しています。

 

帰国前のPCR検査費用については、帰国のために通常要する費用とは言えないため、基本的には技能実習生本人の負担になります。

 

その根拠として、監理団体(企業単独型技能実習については、実習実施者)については、法令上、「技能実習の終了後の帰国が円滑になされるよう必要な措置を講ずる」義務が課されているところ、技能実習が終了し、帰国するまでの期間についても、その間の生活に係る必要な支援については、監理団体や実習実施者が必要な措置を講じるべきであり、このように解することが、技能実習生の保護を図り、もって、技能等の移転を図る技能実習法の理念にも沿うものと考えています。
PCR検査費用については、上記の帰国旅費や生活費と比べて、帰国のために通常要する費用とは言えないため、監理団体に一義的に負担の義務があるとまでは言えないものと考えており、基本的には技能実習生本人の負担になるとしています。

 

また、外国人技能実習生の送出国によっては、帰国前PCR検査の条件(検査方法、検査機関、証明方法等)を指定している場合もあります。

高額なPCR検査費用を無駄にしないためにも送出国の日本国大使館や送出国の駐日大使館にて情報を確認し、円滑に帰国ができるようにしていくことが大切だと考えます。

 

参考

外国人技能実習機構ホームページ

 「技能実習生がレジデンストラックを利用して入国する場合に関するよくあるご質問について」

 https://www.otit.go.jp/files/user/docs/200910-4.pdf

 「新型コロナウイルス感染症に関するよくあるご質問について(周知)」

 https://www.otit.go.jp/files/user/docs/200917-1.pdf

外務省ホームページ

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/cp/page22_003380.html