機構実地検査による実習実施者における違反内容(残業代)2020.10.29
今回は、外国人技能実習機構が行った実地検査で指摘した実習実施者における主な違反内容別件数の中で3番目に指摘件数が多かった残業代が適切に支払われていなかったもの(747件)に関して述べて行きたいと思います。
違反指摘内容別件数の詳細は、外国人技能実習機構が10月2日に示した令和元年度外国人技能実習機構業務統計の中で示されています。
残業代が適切に支払われていなかったと聞くと、報道で耳にしたことがある残業代を全く支払っていない、不当な単価での残業代の支払いをイメージされる方もいるかもしれませんが、まっとうな監理団体を通して外国人技能実習生の受入れを行っている実習実施者においてこのようなことは起きません。
指摘件数747件中のほとんどが割増賃金の基礎となる賃金の認識に問題があったことと思います。
割増賃金率(労働基準法第37条)は、
時間外労働 25%以上
休日労働 35%以上
深夜労働 25%以上
の率で計算した割増賃金を支払わなくてはならないということは多くの人が知っていますが、割増賃金の基礎となる賃金は何なのかは知らない人も多いと思います。
割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1時間当たりの賃金額」です。「1時間当たりの賃金額」には、時給に加え、各種手当も1か月の所定労働時間で割って1時間当たりの賃金額を算出しなければなりません。
ただし、労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給される以下の手当は除外することができます。(労働基準法第37条第5項、労働基準法施行規則21条)
①家族手当
②通勤手当
③別居手当
④子女教育手当
⑤住宅手当
⑥臨時に支払われた賃金
⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
言い換えるとこれ以外の手当を支給されている場合は、「1時間当たりの賃金額」に加えなくてはなりません。
外国人技能実習生で支給されるケースが多い皆勤手当も当然「1時間当たりの賃金額」に加えなくてはなりません。
外国人技能実習生へ手当を支給されている実習実施者においては、監理団体が監査の際に確認していることとは思いますが、給与計算式を確認されてみてはいかがでしょうか。
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