外国人技能実習生にも特別教育が必要か?2020.11.09

 今回のテーマは「外国人技能実習生にも特別教育を行わせる必要があるか否か」についてです。

 

労働安全衛生法第59条第3項では、特別教育とは、「事業者が厚生労働省令で定める危険又は有害な業務に労働者をつかせるときは、その業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならないこと」とされております。

外国人技能実習生は、労働基準法上は労働者となりますので、それらの業務を行わせるときには、特別教育を行わなければなりません。

 

また、特別教育は、外国人技能実習生がその業務に従事する場合の労働災害の防止を図るものであるため、実習実施者の責任において、実施されなければなりません。特別教育の具体的な内容は、“安全衛生特別教育規定”などにおいて、科目や時間が定められております。

もちろん、外国人技能実習生が特別教育を受けている時間は就業時間となりますので、所定労働時間内に行うことが原則です。法定労働時間外に行われた場合は、割増賃金を支払う必要があります。

 

さて、外国人技能実習生が、よく従事している特別教育が必要な一部の業務は以下のものとなります。

 

・移動式クレーンの運転作業(特別教育、技能講習が必要)

・玉掛け作業(特別教育又は技能講習が必要)

・高所作業車運転工作業(特別教育又は技能講習が必要)

・溶接作業(特別教育、技能講習が必要)

・ガス切断作業(技能講習が必要)

・金属プレス加工作業(動力プレス特別教育又はプレス機械技能講習修了が必要)

・加工場及び現場での楊重・運搬作業(機械・装置に応じて特別教育、技能講習が必要)

・各種楊重運搬機械の運転作業(各種機械装置に応じた特別教育、技能講習が必要)

・各種楊重運搬装置による移動作業(特別教育又は技能講習が必要)など

 

ここで、技能講習という単語が出てきていますが、技能講習とは、特別教育より危険又は有害な業務を行う際に義務付けられている講習を指します。

例えば、移動式クレーンの運転作業の場合、1t以上5t未満の移動式クレーンは「技能講習」の修了で運転が可能であり、1t未満の小型移動式クレーンが「特別教育」で運転が可能となります。

 特別教育の講師は教習科目について十分な知識や経験を有する者が行う必要があり、技能講習は各都道府県労働局の登録を受けた機関が実施をしなければいけないので、技能講習の方がより危険で有害な業務に従事する際に、受講する必要があります。

 

 特別教育や技能講習は、安全に実習を行うためには必要なものです。それらの業務の実習を行う際には、実習計画に沿って、適切に特別教育を行わなければなりません。