優良な実習実施者とは?2021.05.17

2017年11月に外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行され、技能実習計画の認定制がとられました。当時、新たに設けられた要件があり、その中の一つに、「優良な監理団体の監理の下、優良な実習実施者は、受入れ人数枠を増やし、実習期間の延長(第3号技能実習生の受入れ可)を行うことができる」ようにするために“優良要件適合申告書”を提出し、認定を受けなければならなくなりました。

 

 新法の外国人技能実習制度が始まり、約3年経過した中、2020年11月24日付けで発表されたのが、“優良要件適合申告書”の新たな点数配分となります。

 これまで優良な実習実施者は72点以上(120点満点)必要であるとされていたところ、90点以上(150点満点)で優良な実習実施者になると変更されました。

※2021年11月までは旧配点でも提出可能となっております。

 

1.技能等の修得に係る実績(70点)

・過去3年間の基礎級及び3級、2級程度の技能検定の合格率

2.技能実習を行わせる体制(10点)

・技能実習指導員及び生活指導員の講習受講歴

3.技能実習生の待遇(10点)

・技能実習1号実習生の賃金と最低賃金の比較

・技能実習の次段階移行時の賃金の昇給率

4.法令違反・問題の発生状況(5点)※違反があれば30~50点の減点

・直近過去3年以内の改善命令の実績や失踪割合

・直近過去3年以内に実習実施者の責めによる失踪の有無

5.相談・支援体制(45点)

・母国語で相談できる相談員の確保

・他の実習実施者で実習が困難となった実習生を受入れた実績

6.地域社会との共生(10点)

・実習生に対する日本語学習支援

・地域社会との交流や日本文化を学ぶ機会の提供

 

「1.技能等の修得に係る実績」の点数が大半を占めていることから、外国人技能実生のOJTを通じての育成が大切となっていることがわかります。3級及び2級の検定は、実技のみの合格で点数付与となるので、実習実施者は実技の練習を反復して、徹底的に指導していただく必要があります。

 

 また、「5.相談・支援体制」の支援体制の点数配分も大きくなりました。

“他の実習実施者で実習が困難となった実習生を受入れた実績”や“実習先変更支援への協力体制”も重要となっています。

原則、外国人技能実習生は実習実施者を変更することができないですが、従前の実習実施者の倒産や不正行為を働き、外国人技能実習生を受入れることができなくなった実習実施者からの転籍は可能となっています。その際に、外国人技能実習生の受入れを行った実習実施者に点数を付与する考えとなっています。

外国人技能実習機構のホームページに実習先変更支援サイトというものがありますので、受入れ体制に余力のある実習実施者は監理団体へご相談ください。監理団体が、登録の支援を行います。

 

 優良な実習実施者の認定を受けるには、法令違反や外国人技能実習生の失踪などの問題を発生させていないなど、実習だけでなく、良い環境を整えることも大切です。

 技能実習計画に沿って、きちんと指導を行い、法令順守の下、適切な運営をされることで優良な実習実施者になることができますよ。

 

新しい優良要件の点数表(外国人技能実習機構ホームページ)

https://www.otit.go.jp/files/user/201125-16.pdf