外国人技能実習生に関係する法令②2020.08.24

今回のテーマは引き続き“外国人技能実習生に関係する法令について”です。

前回は、初歩的な労働関係法令を挙げていきましたが、外国人技能実習生において、すべての根本にあるのは日本人従業員と同等以上であるということですので、日本人労働者に適応されている法令は外国人技能実習生にも適応されます。

 

6.労働時間(労働基準法第32条)・時間外及び休日の労働(労働基準法第36条)

外国人技能実習生の労働時間は、休憩時間を除き、原則として1週間について40時間、1日については8時間を超えないようにしなければなりません。ただし、労働基準法第36条第1項に基づく時間外労働・休日労働に関する協定を締結し、事前に所轄労働基準監督署へ届け出た場合は、その協定の範囲内で法定労働時間を超えて、または法定休日に労働させることができ、その場合には、法定割増賃金を支払う必要があります。

 

しかし、技能実習制度運用要領では、時間外労働や休日労働、深夜労働については、合理的な理由がない限り、原則として行わせることを想定していないと表記されており、技能等の修得等の観点から必要最小限の時間でなければならないとされております。また、月ごとの時間外労働が45時間を超えて行う場合には、外国人技能実習機構へ軽微変更届出書の提出が必要なります。なお、1年単位の変形労働時間制を導入している実習実施者は、月42時間以上延長する場合に軽微変更届出書の提出が必要になるので、ご注意ください。

 

時間外労働については、労働基準法を守っていただくことが大切ですが、上記の外国人技能実習制度特有の時間外労働の上限を守っていただくことが最も大切となります。

 

7.時間外、休日及び深夜の法定割増賃金(労働基準法第37条)

やむを得ず時間外や深夜勤務(原則として午後10時~午前5時)に実習をさせた場合、通常賃金の25%以上の法定割増賃金、法定休日に労働させた場合には35%以上の法定割増賃金を支払わなければなりません。

 

外国人技能実習機構の立ち入り調査の際も、法定割増賃金については、入念に確認されますので、漏れがないようにしないといけません。

 

8.就業規則(労働基準法第89条、第90条)

技能実習生を含み、常時10人以上の労働者を使用する事業所では、始業及び就業の時刻、休憩時間、休日、賃金に関すること等を定めた就業規則を作成し、過半数で組織する労働組合等の意見を添えて、所轄の労働基準監督署へ届け出なければなりません。

 

9.健康診断の実施(労働安全衛生法第66条)

外国人技能実習生については、1年以内毎に1回、定期に法定事項について一般健康診断を実施しなければなりませんし、日本人労働者同様、深夜労働や有害業務従事者には半年に1回、実施しなければなりません。

また、労働安全衛生法では、健康診断結果を記録して、保存することも義務付けられています。

 

10.安全衛生教育(労働安全衛生法第59条)

技能実習を開始したときや実習内容を変更したときには、外国人技能実習生の安全衛生の確保に必要な事項について安全衛生教育を実施しなければなりません。

 

外国人技能実習機構へ提出する実習予定表の各項目にも安全衛生業務は大きな割合で入っていますので、外国人技能実習生が分かる母国語表記の業務内容があれば、役立つと考えます。

 

11.就業制限(労働安全衛生法第61条)

就業制限業務に技能実習生を従事させる場合には、免許の取得や技能講習の修了などの資格が必要です。通訳をつけての特別教育が適切とされておりますので、監理団体などに相談をし、内容が十分に理解できる言語で受けることが望ましいと考えております。

 

外国人技能実習生が行う場合が多い就業制限が設けられている業務は以下の通りです。

 

  • クレーン(つり上げ荷重5t以上のもの)、移動式クレーン(つり上げ荷重1t以上の  もの)の運転
  • フォークリフト等荷役機械(最大荷重1t以上のもの)の運転
  • 玉掛け作業(つり上げ荷重1t以上のクレーン、移動式クレーンに係るもの)
  • アーク溶接

 

 

細かな部分でも法令違反をした場合の罰則の規定もありますので、知らないうちに違法行為をしてしまうことがないように、しっかりと管理していきましょう。