外国人技能実習生の年金は掛け捨てなのか?2020.10.12
今回は「脱退一時金」という日本人には馴染みのない制度の説明です。
この制度は、短期間日本に在住し、日本の年金制度(国民年金や厚生年金など)に、6ヶ月以上加入して帰国する外国人に対して払い込んだ保険料の額に応じて一定額を払い戻す制度のことです。これは外国人技能実習生にも適応されます。
なお、脱退一時金を受け取ることができる外国人の条件は以下の通りです。
・日本国籍をもっていないこと
・厚生年金または国民年金の加入期間が6ヶ月以上あること
・日本に住所がないこと
・障害年金などの年金を受ける権利を持っていない、かつ持たなかった者であること
外国人技能実習生は、帰国した際に脱退一時金の請求を行うことができます。3号技能実習生の場合、技能実習3号移行前又は技能実習3号1年目の間に一時帰国を義務付けられておりますが、この期間中は日本に住所を有して一時帰国をしているので、請求を行うことはできません。
しかし、一度、技能実習3号移行前に退職手続きを行い、転出届を出した場合の帰国は、請求手続きを行うことが可能です。この場合は、再度入国するまでの間に必要書類が日本年金機構へ到着するように手続きを行わなければいけませんので、ご留意ください。
また、現行の制度だと、支給上限年数は3年となっていますが、「年金制度の機能強化のための国民年金法等一部を改正する法律」が成立(2020年6月5日公布)し、2021年4月1日より支給上限年数が5年に引き上げられることになりました。これは、在留期間の上限が5年となる特定技能1号や最長5年間技能実習を行う外国人技能実習生に見られるように5年在留している外国人の割合が増加している状況に対応するためだと思われます。具体的な年数は政令で規定される予定です。
この制度には請求期限が設けられております。それは、日本に住所がなくなった日から2年以内とされていますので、帰国したら早期に請求を行うよう外国人技能実習生には入国後講習で周知しております。
参考 日本年金機構(脱退一時金の制度)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html